スペイン記 (4) カサミラの曲線に落ちる人



スペイン記 (4)     -  カサミラの曲線に落ちる人  -




ユースホステル一泊1500円朝食付き。

ユースホステルの朝食なんて期待してないくせに、律儀に朝食の夢を見た。

ホステルの食堂で中学の吹奏楽部の男の子たちが一つのテーブルに僕を囲んで座る。
蜷川幸雄風の吹奏楽部のコーチ(その業界では有名な人らしい)が ズカズカ入ってきて、
「考えるんじゃない、感じるんだ!」的な月並みのアドバイスをしている。
幸雄の話を聞く気もない男の子達と朝食の「抹茶ごはん」を品定めをする。
いつのまにか食堂の机と机の間をゴールに見たててサッカーしている。
幸雄はまだ何か言っている。

そして目が覚める。
朝食はフランスパンとココアとオレンジジュースとパンケーキ。いいねぇ。
テーブルの上に置いてあったバスケットの中からイチゴジャムをとって、パンに塗りながら、今日はどこに行こうかなぁと考える。
現在9時。今からシャワー浴びて荷物まとめてぶらぶら出発したとして10時くらいか。まぁ外に出たら行きたい場所も決まるやろ。


ぼーっとフランスパンをかじっていると、バスケットの中にピーチジャムがあることを発見。バスケットに溢れんばかりに積まれたジャムは全部イチゴジャムかと思いきやピーチさんまでいたとは。
桃のジャムか。食べたことないなぁ。明日の予定が一つだけ決まった。



”  明日はピーチジャムやな。”




< カサミラさん >



とりあえず電車に乗る。二つ今日行く候補が浮かんでて、

・サグラダの内部に侵入作戦
・カサミラ、カサパトリョ、カサカサカサカサ作戦

昨日もサグラダに行ったが、内部には入ってなかった。
カサミラ、カサパトリョはサグラダと同じくガウディの建造物。
サグラダは電車を一回乗り換えないと行けなくて、カサミラは多分乗り換えんで行ける。

電車に乗るまではサグラダが第一候補だった。
で、電車に乗ってスグに、乗り換えたくない気分になった。
だからまっすぐで行けるカサミラに行くことにした。
乗り換えたくないから予定変更、僕のよくある行動パターン。



ディアゴナルで降りる。そこから東西南北どっかの方角にまっすぐ行けばカサミラに着く。四択。
いい天気だし勘が当たりそうなので、「っぽい」方にプラプラ歩く。

30分が経ち、案の定、道に迷って、今どこにいるかわからんなる。
迷うのはいつものことなので、特に気にすることもなく「っぽい」方を進み続けているとと
カサミラさんがそこにいました。






「あれ、カサミラさん じゃねぇーの? こんなとこで何してんの?」

そんな感じの遭遇だった。





< カサミラの曲線に落ちる人 >





カサミラさんの内部に入る。
まずカサミラさんの胃の中に入って、そこから空を見上げると、うねうねの構造がぐねぐねで 「カサミラさん、やるねぇ」 と言いました。

エレベーターでグッと頭のてっぺんへ。
3人組のチャラい日本人がいたので、ちょっかいかけてやろうと思ったけど、
あい どんと らいく チャラいヤツ。ということで無視。






カサミラさんのつむじに立つ。


砂漠的な曲線、無機質な窓、光、影、ヘンテコな突起物。


S・カルマ氏( 安部公房「壁」)の内側に吸収されてしまったようだった。
ラクダは吸収されてしまった後だった。


現在のカサミラさんは <安全上の理由により> 柵がつけられている。
それが無かったら、どんな風景だったんだろうか。
砂地獄の穴に落ちてしまいそうな恐怖感と表裏一体的に存在する美しさがより際立っていたんだろうな。でも柵が無かったら、その渦の中に引きずられていただろうな。



スロバキア人のズッコケ三人組とカメラで遊んで、ちょっとスケッチして、ぐるぐるしてる間に2時間経っていた。満足満足。



< パトリョがいない >



昼の1時を回って、焼け付くような陽射しが愛燦々と〜♪降り注いでいた。
カサパトリョを探す。地図ではカサミラさんとパトリョは歩いていける距離。
地図を見るのが苦手なので、通りを一個一個数えながら、地図を指でなぞって歩いた。
一歩一歩丁寧に進んできたのに地図上でそこにあるはずの場所にパトリョの野郎はいない。
どこに隠れとんねんと隈無く見回すと、
まるでジャングルの木々に擬態する生物のように、じっとりと立っていた。

「へい、パトリョ見つけたでぇ」

中に入ると日本語の音声ガイダンスを手渡される。
音声ガイダンスを聞きながらパトリョを回る。
音声ガイダンスのお姉さんの話が長くて、なかなか次の部屋に行かしてくれない。
真面目なお坊ちゃんは、お姉さんがその番号の部屋の説明に満足して口を閉じるまで、その番号の部屋でグルグルしていた。

こんな家に住んでたら、どんな何だろうか。ふと思った。
この風景を日常的に見てしまうと、街の小さな面白いコトが気付けなくなるかもなぁと思った。




< パトリョとのお別れ >


パトリョともすっかり仲良くなってから、お別れを言う。
音声ガイダンスのお姉さんとは最後までしっくりいかなかった。
3時、これからどこに行こうかな。

気分は海やな。

ということで、海に行くことにして地下鉄に乗る。
海の駅で13歳くらいの常夏少女たちのヤカラに、ちょっかいかけられる。
階段の上から頭とかさわってくるから、「もー」っと言うと笑って逃げていく。
最近よくチッチャイお子さんになめられるな。


海に着く。今日も人々は海で遊んでる。
のどかな場所だ。
そうだジョアン・ミロに会いにいこう。
















<ゴンドラでビューンとミロファウンデーション>




ジョアン・ミロに会いにいこう。

海の駅からゴンドラに乗ればモンジュイックの丘に着く。
ミロファウンデーション(ミロ美術館)はその丘のどこか。

ゴンドラでビューンとミロファウンデーションへ。
 (ビューンの部分のお話はこれといってスパイスがきいていないので省略)







ジョアン・ミロ、僕がたまに急激に影響を受け、たまに急激に好きになる画家。

美術館の中に入ると、まずテキスタイルの巨大な画が目の前に飛び込んでくる。
21世紀、現代アート作家が現代やっていることを、何十年も前にとっくに1人でやっていた気がした。

美術館には閉館時間までいた。
見ていて力がみなぎった。
俺も出来る、俺も出来る、言葉が心の中でこだました。

何十Mの巨人とでも、どうやって勝てるかを考える。
過去のどんな画家とでも、いつでも勝つつもりで作戦を練る。


僕は絵画史なんて全く興味がない。ルネサンスだろうがナポリタンだろうがカルボナーラだろうが関係ない。面白いものが面白い。
ミロの作品は面白かった。




僕は美術館を徘徊しながら、これからの芸術界で生きていくには、どんな新しい手があるんだろうか、と思案していた。
考えていると、ぶくぶくとやりたいことが出てきて楽しくなって ”今日の晩ごはん



何食べようかな状態" に近くなって、帰ったら何描こうかなで頭がいっぱいになった。

ミロのプロフィールを見る。
ミロは 1893年 生まれ。僕は1992年生まれなので、だいたい100年前に同じように19歳のミロがいた。そう考えると、ああ何でも出来るわぁと思ってまた根拠の無い自信をコンクリートのブロックで補強した


















ミロ美術館を出て、ふらふら歩いていると沢山の芝生のミニコートがあって、子供から大人までサッカーを楽しんでいた。バロセロナは至る所に人工芝生のサッカーコートがある。おっちゃん達のゲームに


よしてほしかったけど、ちょっとシャイになってやめた。



カタルーニャ国立美術館へ行くがもう閉館していた。美術館の前では




噴水ショーをしている。













噴水は合わないヒップホップに乗せて踊っていた。






僕は合わないヒップホップを聞きながらう

















まい棒をかじる。


































踊る噴水から少し行くとミロ公園がある。ミロ公園という響きに完全に期待しすぎていたが、大きな塔がある以外は普通の公園だった。
ミロ公園のベンチに座って、二本目のうまい棒をかじる。二本目の下半身は粉々になっていた。


スーパーで3時のおやつ用にソーセージを買って、晩メシ食べて、歩き疲れて夜になる。

ホステルに戻ろう。今日は少し疲れたな。
初日のエキセントリックから一点、かなり THE 観光 って感じの平和な一日やったなぁ。うんうん。













<二日目の終わりに>




ストライキがないと、こんなにもスムーズにホステルに帰って来れるのかと思うほど滑らかにホステルに着いた。

明日の予定でも立てようかとホステル備え付けのパソコンを開く。
フェィスブックを見てジーメールを見る。

あるコンペの事務局から<審査結果>のメールが来ている。かちりとクリックする。
ドキドキしながらメールを読む。



<審査結果>


林俊作さま
△▼コンペティション事務局は、
あなたさまの今年度の△▼コンペティションの審査結果をお伝え致します。


ダラダラダラダラダラダラダラダラ パシャン!(小太鼓とシンバル)


「林さん、おめでとうございますぅ」


パチパチパチパチパチパチ( from △▼コンペティション事務局 )



あらま、コンクール受かったのね、どうしましょ。
びっくりして、おろおろした。誰もいないホステルのパソコンルームで何とも言えない満足感に浸っていた。

「選考結果の方はどこでお知りになりましたか?」
「バロセロナで。」

かっこええやん。

すぐに連絡しないといけなかったので、事務局が開館する時間まで待つことにした。現在スペイン時間12時。あと2時間待たなければいけない。深夜2時まで何をしようか。


とりあえず大学の友達に「ええやろ〜」の電話。そのあと明日の予定を立てる。
3日目はグエル公園やな。予定会議終了。
ぼーっと2時を待って、事務局にパサッと連絡して就寝。




気分も良いし明日はグエルのカエルみたいなヤツにシッペでもしに行くか。











コメント

  1. スペイン記、もう飽きてきちゃったんですか?(笑)
    面白いのに・・・。
    まあ、林さんは絵を描いて下さるのが一番ですが。
    何とかコンクール、合格(って言い方であってるのか?)
    おめでとうございます!
    また林さんの絵を観る機会が巡ってくれば嬉しいです。
    (K.Koga)

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    1. 毎回読んでいただいて、ありがとうございます。
      生粋の飽き症なんで。。。でも来来週分くらいまでのストックはあるので、まだ終わりませんから今後ともヨロシクです!

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