ニューヨークの少女が微笑みながら寝返りを打つとき

最近のこの日記はかたっくるしいコトやら大スクープしか取り上げてなかったので、ちょっとしょうもないことについて、だらだらと考えてみる。

とりあえず表題の「ニューヨークの少女が微笑みながら寝返りを打つとき」は谷川俊太郎さんの詩「朝のリレー」の一文である。小学生時代この詩を習ったとき、「ニューヨークの少女が微笑みながら寝返りを打つとき」と先生が暗唱した時、クラスの男友達が「入浴の少女やってー」とゲラゲラ笑ってるのを見て以来、僕の中で入浴とニューヨークは切っても切れない関係にある。

それで入浴の話だけど、表題とは全く関係ない話をする。最近よく湯船の中で寝てしまう。イギリスでは毎日シャワーの生活で風呂なんてそんなまったりとした時間を過ごしていなかった。だから日本に帰ってきて家で風呂に入って、熱いお湯の中に身体をうずめるのはなんて気持ちいんだろう、と思う。それで何となく色々なコトを考えたりしてるうちに僕はステンレスの腕に体重を傾ける。気付くとそんなに何十分と過ぎてるってことはないけど、それなりに時間は過ぎてて、あらあらと思う。だいたい僕はスグのぼせる性質のやつで、じゃばっと入ってがっと出てしゅっとさっとおらっとやって感じやった。いつも風呂からあがると、ふらふらするからよく脱衣所の横の洗濯機に頭を置いて、じーっと熱が冷めるのを待つ。で、その性質がイギリス行って何らかの作用をもたらして変化したとかそんなわけでもないからスグにのぼせるし、風呂で寝てしまった後は風呂から上がっても体が動かなくて五分くらいそのまま床に倒れて呼吸をしてた。目の前が銀紙の万華鏡になる。

それで、ふと思い出したんだけど、日本では入浴中に死ぬ人の数は一年間でだいたい1.5〜2万人にのぼると言われているそうだ。急な温度の変化によるショック死であったりいろんなアレがあるみたいやけど、僕はあんまりそのいろんなアレには興味がなかったので覚えていない。ただ僕はそんなけの人が ”おふろ” を人生の最後の場所にしたということに変な思いになる。

小説、物語、神話。たくさんの作り話の中で、主人公が "おふろ" で末期を迎えるというお話はないような気がする。だいたいは作り上げられたシチュエーションで作り上げられたように死んで行く。英雄には英雄に、主人公には主人公に見合った最期の為の場所を用意する。でも僕はあえてそこでごく自然にあふれる最期を迎える話があっても面白いのになって思う。大海原を勇ましく航海し、地球を三周して数々の怪物やらを倒して栄光を勝ち取った英雄が全ての旅を終えてお風呂で血管が急に収縮して死んでいく。そこに何か人間の絶対的な運命を逆に感じるんじゃないかと思ったりする。

僕はいつでもオチはあってないようなお話が好きだ。いつでも物語が最期に進むにつれ、その話が綺麗な終わり方をしていることを祈る。たまにどでかいオチを用意周到に準備されている物語があるが、僕はそこに不自然性を感じる。作者の読み手を裏切ろうとする下心が見える。でも本当の人の人生って大抵そんなにうまくはいかないし、でもたまにそれよりおもしろい。だいたい思考がパジャマ姿の時に起こるコトが大切なポイントのような気がする。

話は戻るが、主人公がお風呂で末期を迎えるお話。なぜ僕がそんな話をするかというと、最期というのは全ての人にとって必然的なもので、その必然的な事象は、どんなに勇敢な主人公であれ誰であれ、同じように起こる。そんなことは今になって取り立てて言う必要もないけど、その最期の必然が現実的で一般の生活と近い方が、より人はその物語を共感し慄然とするのではないかと思う。どんなに非現実的な物語でも、それがどこにでもある最期によって、いきなり現実に読み手を引き戻すのではないかと思った。

風呂にのぼせてそんなことを考えていたみたいだ。

コメント

  1. 日記読みました。
    面白いことを考えるんだなって思いました。
    私が読んだことのないたくさんの本を知っていて、
    私が経験することはないだろうことを経て、その豊かさにとても興味があります。同じ年齢ということが思いを強くし、たくさん刺激を与えられています。
    縁があれば、作品を観にいきたいです。そして日記楽しみにしています。

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  2. 日記読みました!
    京阪モールで作品を見た時と同じ感覚になりました。
    同じぐらいの年なのに、
    いろんな感じ方ができるんだなって
    初めて絵を見た時もそんなことを思いました!

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  3. まさかのお風呂話!!びっくりしましたー。

    でも、たしかに、お風呂でいろいろアイデア思いついたり、パジャマでふとんの中に入ってるときに、じっくり考えられたりするかも!おもしろい!

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