クラクフに誓って

クラクフの寒さが身体に突き刺さった。

19日の朝、クラクフに降り立って、フライトの時間の関係でロンドン→ポーランド間の2時間半と移動バス以外ほとんど寝れてなくて眠気で頭がぼーっとしていた。だけどクラクフについて寒さでぎくっと震え上がって、始めて見るポーランドの東欧の雰囲気に何となく今日は寝て明日から動き出そうかなーと思ってた怠けた旅行計画は、がっつり今日から楽しんでやろうに切り替わった。

クラクフ国際映画祭に今年の3月に出来たアニメーション「The Old Man and the Sea」がノミネートされて招待された。一ヶ月ばかり前にノミネートの通知をメールで頂いて、1人部屋で涙が出そうなくらい喜んだ。寮の友達とか教授、クラスの子、いたるところで興奮気味にわーわー言った。このアニメは2年間かけて作った6分43秒の映像。なんやかんやでアニメーションも13歳からやってて、もう10作目くらい。今までアニメ部門で正式に評価されたことはなかったからホントに嬉しかった。作品が完成したときは今年の3月で、その時は高校を卒業したばっかの時で完成してすぐに高校の友達に電話して今すぐ俺んち来いって言って、朝やったか夜やったか、とりあえず極端な時間に友達を数人呼び出して上映会をした。アニメを見終わって1人の友達が「ここはこうした方がいいんじゃない?」ってアドバイスをしてきたので「だまれ!!」って叫んだ。感想はいらん、自分の2年間を見て欲しかっただけ。だけどせっかくわざわざ俺んちまで来た友達は一言ぐらい言わせろよって言ってた。

そんな作品が8ヶ月経ってポーランドで上映される。わーって思った。

出発の前の日、寮の友達やクラスの友達に見送られた。映画祭くらいスーツで行けよって、上着、ネクタイ、靴をそれぞれ三人の友達から借りた。スーツの着方なんてわからん僕に数人が僕を囲んで、こうやって着んねん、わかるか、わかってんのかって言われて maybe.. .って言って。
夜に友達の寮にメシ誘われて行ったら、僕にカツ丼を作ってくれた。日本では勝負の前日にカツ丼を食べるんやろって言って作ってくれた。なんで知ってんねんって思いつつ、嬉しかった。

そんなこんなで行く前からおなかいっぱいになっていざ飛行機へ乗り込む。
何時間も待って小さな飛行機に乗り込んで、すこしボロボロな機体に大丈夫かって思って。
案の定、僕は機体の傾きをもろに感じ、子供達は大泣きで、ポーランド語のアナウンス、そして着陸時の乗客の拍手。
まぁとりあえず着いたので良いんです。と思った。


クラクフの空港に着いたら、カーシャさんという方が僕を待っていてくれて会場に向かった。会場でまず中編フィルムをいくつか見て、そのフェスティバルの雰囲気を噛み締めた。ここに僕のフィルムが上映されるのか、自然と感動した。

そのあと、カーシャさんに誘ってもらって、カーシャさんの友達と5人でご飯を食べにいった。その日に飲んだホットチョコレートは、このイギリスに来て2ヶ月間ほぼ糖分という糖分をとってなかった僕には、とてつもなく美味しくて、うわーポーランドの味やわーってなぜかポーランドを感じた。チョコレートの安心感、糖分のほっこり感を再確認した。

この日、僕たちは夕食を食べて、モニカさんという方の家に行って夜2時くらいまで、なんやかんや喋ってた。この時間はポーランドに来て一番、特別な時間だったかもしれない。僕は観光地とか回るより、こうやって新しい友達とまったり過ごせる時間がスゴく好きやから、ほんまに楽しくて、居心地が良かった。


二日目は朝からアウシュヴィッツへ。
感想を書くコトは難しい。簡単な気持ちで見れるもんじゃなかったから。
だけど、どっかで過去を勉強してる感じがして、そこに自分の冷たさを感じた。

アウシュヴィッツを出たのは3時、なんやかんやでいつもどおり道に迷ってクラクフに着いたのは6時くらい。そのあと、またホテルから会場までの10分の道のりを何のことなく1時間かけて迷いながら歩いた。

今日はパーティ。僕はパーティなんて派手なもんは苦手なんだけど、それでもそれなりに楽しんで友達も何人か出来た。メキシコ人のクリスチャンとは「メキシコ行ったで、また行きたいわー」みたいな話で盛り上がって、その後もよく話した。







月曜からは、もうほぼ映画祭に入り浸り。
たぶん7、80本の短編アニメを見た。
眼球の悲鳴を押し殺して、一日8時間くらい見てた。それでも飽きないくらい目新しくて様々な手法だった。
なんでこんなん作れんねんって新し過ぎて感動した。やっぱ世界はでかいな。でかいなって思うと嬉しくなって。嬉しくなって涙が出た。
まだまだやらなあかんことが山ほどあるなって思って嬉しくなった。
スゴいデッカい敵を見つけてにやにやした。
並大抵のエネルギーでは、こんなん勝たれへん、って思って、今のままではあかんって頑張るぞって心が震えた。


だいたい映画祭は3時くらいから始まって、9時くらいに終わってその後は毎晩パーティ。だから3時までは適当にぶらぶら観光して、ご飯食べて映画祭行って、たらふく映画を見て夜はパーティってのがだいたいの日々のスケジュールだった。
クラクフの街は東欧の古い町並みの残る穏やかな街だった。街を歩いて市場に行って、観光地を回る。カーシャさんも同行してくれたりして色々クラクフの歴史を教えてもらった。

パーティでは7、8人の世界各国からきた映画監督やアーティストとテーブルを囲んで夜の2時くらいまで喋ってて、皆熱くて、俺はこう思うんだみたいなんを共有出来たことが新鮮でスゴい良い時間だった。スゴく印象的な夜だった。



水曜日、もうこのクラクフの旅の終盤に突入する日、僕の映画が上映される。

なんとなく朝からそわそわした。僕は基本的に悪い想像はあんまりしなくて、無駄に良い想像をしたりするから、わくわくで、ちょっとネクタイをきれいに整えて会場に入った。

僕のアニメはその回に上映される11本のうち6番目に上映される。指折って自分のアニメの出番を待って、なんとなく姿勢を正して5つ目のアニメが終わった。






6分43秒は2分くらいに感じた。

張りつめた緊張は拍手が起きてほっとして、ふってなった。
僕の後に流れたアニメはほぼ目の前を通り過ぎていくだけだった。
とりあえずコノ数百人の前に自分の映画が流れたことに、ぼーっとしてた。




木曜日、映画祭がまもなく終わる。映画祭の授賞式が終わるとコノ劇的な6日間も一緒に終了する。寂しかった。

でもその日はなんやかんやと慌ただしくてあっという間に授賞式の会場にいた。
大きな要因はポーランドのBBCとかCNN的なニュース番組にインタビューされたことだった。インタビューは日本語でもあとで字幕つけるから良いとは言われたけど、人に思いを伝える気持ちには、ぐちゃぐちゃでも英語で自分の発した言葉の方が良いやろうし、この2ヶ月の留学生活の成果を見せてやろうと思い、英語で喋った。
まぁどうやったんかはわからんけど、熱は伝わったと思う。
緊張したというよりはなんか楽しかった。







授賞式までは恥ずかしくもひょっとしたら何か賞もらえないかと期待してた。ひょっとしたらひょっとするかもなって。それも一緒のホテルに泊まってた審査員の人がわざわざホテルで声かけてきてくれて、お前のん面白かったでって言ってくれたから、これはきたなっていろいろな不安が一気になくなって期待に期待をしていた。でも期待しないみたいなんは逆に格好つけて逃げてる気がして、自分が良いと思ったものを出したんだから期待する、そっちの方がずっと良い。いつでも何でもとりあえず一応期待しとくかみたいな感じで期待して想像して、そっちの方がグネグネしてなくて良い。





まぁそれで結果はもう授賞式前に決まってたようで、何となく受賞する人たちは、もう受賞すること知ってましたよ感ただよう堂々とした歩き姿で、まったく驚いたり隣の人と抱き合って喜ぶ的な感じではなく、授賞式は僕の想像とはうらはらにしめやかに行われた。
受賞スピーチなんてあったら、何を言おうかしら!なんて想像までしてた僕は何か自分が面白くなった。

その後、パーティにちょこっと参加した。
最後のお別れをいろいろな人に言って、また絶対ここに帰ってくるってクラクフに誓って。

夜の2時にカーシャさんにバス停まで見送ってもらって、別れ際にプレゼントまでもらって。いつも助けてもらって、ほんとにありがとうございました。

それでバスに乗り込み、暗いバスの中で、全部これで終わったのかと気付いて寂しくなる前に眠ることにした。

飛行機はビューンと一気に僕をロンドンに引き戻す。

帰ってきたのは朝で、そのまま大学の授業に出る。
バスの関係で遅刻しちゃって教室に入ると、皆でどやった?どやった?って近寄ってきてくれた。帰ってきたって思った。









クラクフから帰ってきて数日、また映像を創り出した。
またあの場所に立ちたい。クラクフで今回出会った人にまた出会いたい。
そんな目標があるから、今まで以上に頑張れるって知ってる。
ってかこれで死ぬ気で頑張れんかったら、表現する価値ないなって思う。

コメント

  1. 日記かいてくれてありがとー!
    そーかぁ。いっぱい刺激もらった旅になったんやね。
    友達がカツ丼作ってくれた話すてきやなー。
    あったかい人たちに囲まれてるね!

    これからの俊作くんの作品、楽しみにしてるよ!
    次、クラクフの舞台に立つときは、私も観に行きたいなー!
    取材で行けるように、わたしもがんばるぞ。

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  2. コメントありがとうございます!
    日本におった時から、なんでかなって思うくらい、いつもいつも何となく良い人たちに囲まれてて幸せです。

    またあの場所に立てるように、頑張ります!
    じゃークラクフで!(笑)

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  3. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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