美術質のたんぱく室


一昨日も母校の美術部に行った。僕は高校時代、特に美術部とかやったわけじゃないけど、色々あって渡英までの半年間で30回ほど高校で美術部の顧問をしたり近隣の中学校でワークショップをしたりした。4月のはじめの頃は、芸術なんて教えられるもんじゃないから顧問として何をしたら良いんだろうとかと思ってた。ましてや自分もまだ心がぐらぐらとしているような時に人に偉そうに何か言えるほど偉くもないのにどうしたら良いんだろうと思っていた。


それで中学の美術部の子にワークショップをすることになって、何をしようかと考えて「物語をつくる」というものをすることにした。美術部の中にも画を描くコトが得意じゃないと思ってる子や画が思いつかない子がいるみたいで何もない白紙から自由に描いて!と言っても逆に描けないというコトを聞き、まず自分の描いたキャラクターを使ってやってみようと思った。
上のようなキャラクターを紙に貼って周りに背景を描いて色を付ける。描きながらこのキャラクターはどういう人で何をしてて、どこに行こうとしてるのか、今まで何をしてきたのかなどのストーリーを考える、そして前に立って発表するという授業。僕は画の描き方とかウマく描くコツなんて何も知らないけど、すこし頭のネジをゆるめる方法なら知ってる。そして少し頭を遊ばせることが自由に画を描くコトを楽しめる方法だと思う。よく絵心がないという人がいるけど、それは描こうとし過ぎてるからだと思う。良かったら上のキャラクターを紙に好きな向きに貼っつけて背景を描いて物語をつくって遊んでみて下さい。







その次にやったのが「人間観察とステレオタイプ」。たとえば棒人間がいて、そのままではそいつの性別も年層もわからない。だけどその棒人間に長い髪の毛を描いて赤いランドセルを背負わせば、それが小学生の女の子だと人は認識する。そういう固定観念上の色やモノに対する人の認識を利用することでより画を人に伝えやすく出来ると思う。それで今回やった授業は電車の中の風景があって、それの中にいる人物を描き加えるという授業。うたた寝をしていて左右に首を振る人とそれを露骨に嫌な顔をする人とか携帯に熱中する人、スポーツ新聞を広げるおっさんとそれをチラ見している中学生。
それはなかなか気付かない些細な風景。僕はこの授業を通していつでも人を感じてほしいと思ってた。



それからあとは遊びみたいな授業もした。授業というかほんまに遊び。実際にやらないと説明しにくいんだけど、皆で机を囲って描いて遊んだ。
画を通して遊べる、僕はほんとにそういう時間が好きだから、こんなことでいいなら毎日でもやりたいと思った。僕は普通科の高校に行ってたんだけど、もし画を描くコトが好きな友達がいたら、日がな思いついたことを一緒にやって遊んでただろうな。


前にどっかで展覧会に行って、パウルクレーとかの画を見てた中に、アート文通みたいなんがあった。それは4つ折りにした紙の一辺を誰かが描いて、それを次の人に送って、また次の人はその隣の辺に画をかいて、また送って描いて、送って描いてして一枚の画を描くんだけど、その文通をしてた人がみんな今では有名な画家でやばいなーって思った。羨ましさとくやしさ。芸術を遊んでる感じがうわって思った。それで美術部の子らともそんなコトを皆でやった。


こうやって顧問だとかとしてやるまでは、ここまで人と何かをつくったりすることが好きではなかった。共存が嫌だった。だけどやってみたらそれは共存ではなく共有だった。


今までの僕は同じ世代の美術を目指している子とか興味もなかった。
だけど今はすこし変わった。


2年くらい前に芸術家になりたいっていう同い年か下の子にメールをもらって会おうぜ?って言われたことが何回かあった。最近になって会えば良かったなと思った。どんな画を描くとか抜きにして、芸術を志す全ての人が結びつき合えば、今のアートの世界なんて倒せられるだろうと思うから。


前に一個下の遠くに住んでる絵描きの男の子がわざわざ大阪に来てくれて一緒に会うことになった。とりあえず太陽の塔に行って、部屋で一緒に画を描いた。


僕はいつかの時代の芸術家に憧れる。同じ時代にあらゆる芸術家がしのぎをけずり同じテーブルに座って論議していたなんて悔しく思う。ほんとにその場所にいたいと思う。
その場所で俺の画を見てくれって言って画を広げてやりたい。
悔しいから、いつか未来の人がこの時代の芸術に憧れられるような時代にしたい。
だから僕は今、芸術をする全ての人と出会いたい。作品がどうこうを抜きに。


美術を教えるということをしてみて本当に良かった。それをしていなかったら僕はいつまでも一匹狼きどりだっただろう。


今度、美術室で送別会をしてくれるようで何か嬉しいなあと思う。

コメント

  1. こんばんは。1992年生まれの男です。今は名古屋の美大で学んでいます。
    思う事はいっぱいあるんですけど、一番僕がこのブログを読んで思ったのは、僕たちの世代でもいつかの芸術家の様にテーブルを囲み論議のような事ができたらなと言う事です。いつも刺激をありがとう!イギリスでも体調にお気をつけて!

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